1月31日 1月に読んだ本②


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小島信夫 『島』 集英社文庫

 

小島信夫全集の1番始めに載っている『島』。文芸雑誌「群像」に連載されていたのが昭和30年頃で、この文庫は昭和54年の初版です。私と同い年。

読み始めて、これは苦行だ。と“理解する”ことを半ば諦めて、ただただ読む、読み続ける事をルールとしてなんとか読み切りました。

それが、訳もわからぬまま読み切ったあと、小島さん自身による解説を読んで身震いすることになろうとは…。

きっと、わけのわからないものをずっと読まされる事に耐えられない人は、この島は何かの比喩だろうとか考えてしまうと思うのです。また、作者はある意図を持って、何事かを読者にわからせようとしてこれを書いてるのだと、思いたいものだと思うのです。

しかし小島さんは、自分でも何を書いてたかわからないと言います。連載中よく訪ねていたという森敦さんに、小説の中に出てくる「臭い」の正体は何ですかね?とか聞いたりしている。

けれど、小島さんはこの小説を書き切るのです。最後まで。

わからないものを無理やりわかるために、ストーリーを作ったり解釈を加えたりせず、ただ読む。小島さんが、ただ書いたのと、その行為が繋がっているような気がして、なんか震えてしまいました。

小島さんの最晩年の著書は、夏葉社の『ラヴ・レター』です。いつになるやらわかりませんが、全集を読み続けるつもりです。